と言いつつ、ケチをつけたりすると、この映画は、検察や裁判官、警察を「美化しすぎ」だと思いました。現実は、もっと酷いと思います。たとえば、いつも傍聴に行っているグロービートジャパン・平和神軍事件の裁判なんかは、毎回のように検事が居眠りしています。3人居る裁判官も、誰か一人は居眠りです。それに、映画のように、ハキハキとしゃべってはくれません。傍聴席からは聞き取りづらい声で、ボソボソとしゃべります。
まあ、そこまでリアリティーを求めると、観てて良く分からなくなるので仕方の無いところですが、全体的には誇張の無いリアルな作りだと思いました。法廷の狭苦しさ(窓が無いから)や裁判所の入り口の荷物チェックも、忠実に再現されています。傍聴マニアが存在するところまで、忠実です(微妙に悪意を持った描かれかただけど)。関係ないけど、建築基準法では、部屋には窓をつけないといけないようになっているはずなんですが、法廷は「部屋」じゃ無いんでしょうか?いつも謎です。密室です。
それで、痴漢冤罪がどうして起こるのかというと、おかしな裁判制度のせいもありますが、満員電車という「奴隷船」の問題が大きいかと思います。寿司詰め状態を解消できないなら、監視カメラでも設置しないと、どうしょうも無いでしょう。人が沢山乗っているのに、有効な目撃者が居ないという「密室」の犯罪に近い状態です。
この映画は、「明日は、わが身」ともなるべき状態がずっと続いていることを、きちんと描いた正統派映画です。満員電車に乗る人だけでなく、無線LANを家に設置している人や、ブログをやっている人は、是非観に行ってください。事件は、現場で起きてるんじゃありません。「密室」で作られていくのです。
※無線LANを設置していると、第3者が踏み台のために侵入して、ネットで犯罪行為(犯行予告など)を行う可能性があります。IPアドレスを辿った警察が、突然、家宅捜索にやってくるかもしれません。実際にあった事件です。
参考文献:
映画を観たあとは、本物の裁判を観て比較するのも面白いかもしれません。